storyストーリー
笈川寅蔵(Torazo Oikawa)/1908年、
岩手県和賀郡生まれ。
宮沢賢治の花巻農学校での最後の教え子の一人である彼は、師の説く「農民芸術」に影響を受け、1926年(大正15年)に和賀郡谷内村砂子(いさご)に入植し、農業を営み始める。
数年後、生活のための農業だけでは飽き足らず、趣味ではじめた庭いじりにも没頭する。加えて、庭の参考にと野山のフィールドワークに精を出す。彼の庭や自宅裏の林は地域に自生する樹木や草花を中心につくられ、周辺に馴染むナチュラルかつワイルドな様相をみせながら、随所にエッジの立った場面展開も用意されている。
ある晴れた5月末、東向きのとある谷にて、一面に大輪の花、色は青や白、一重や八重のものが咲き誇っている衝撃的な光景に出会う。調べてみると、つる植物「クレマチス」の原種の一つ「カザグルマ」とわかる。以後その美しさや動きのある姿にのめり込み、観察を続け、挿し木、種まきにより、生産できるようになる。
その後、庭や自宅裏の林の中で周囲の自然と調和して咲く「カザグルマ」と、彼の庭いじりのスタイルが口コミで評判を呼び、来園や購入の希望が増えるのをきかっけに、「イーサゴ ナーセリー&ガーデン(iisago Nursery & Garden)」として、庭を解放、クレマチスの販売を開始する。
「イーサゴ(iisago)」とは宮沢賢治の小説「ポラーノの広場」にて、盛岡市のことを「モーリオ市」と呼んでいることにならい、自身の住む砂子(いさご)集落からとり屋号としている。
以来、三代に渡り、「クレマチスのある庭いじりの楽しさを伝えることが使命」という彼の言葉どおり、「イーサゴ(iisago)」にて、生産(ナーセリー)と庭づくり(ガーデン)は受け継がれている。
※ このストーリーは虚実混在のフィクションです。